【簡単に解説】内装制限とは?概要と関連法規やよくある疑問。

  • 2024年8月10日
  • 2024年12月5日
  • 法規, 経験
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内装制限とは?目的と概要。

意味と目的

内装制限とは“内装”の仕上げ材を不燃材等に“制限”するという意味です。目的は、壁、天井等の室内に面する部分を不燃材等で仕上げることにより、火災の拡大や有害ガスの発生を防ぎ避難、消火活動等をし易くすることです。

概要

一定の建物や部分について、内装仕上げ材を不燃材料や準不燃材料にしなければなりません。例えば、高層建築物や多くの人が集まる施設(学校、病院、劇場など)では、より厳しい規制が適用されます。壁、天井が主な対象です。特に避難経路や避難階段周辺の内装には厳しい基準が設けられています。これらの規定は、建物の用途や規模に応じて異なる基準が設けられており、安全性の向上を図るための重要な規制となっています。

注意点

実は建築基準法に「内装制限」という言葉は存在しません。以下に解説する第35条の2「特殊建築物等の内装」の“室内に面する部分の仕上げ”を“防火上支障がないようしなければならない”事が一般的に「内装制限」と呼ばれています。

内装制限の法規

建築基準法の第35条の2「特殊建築物等の内装」で定められています。

第35条の2「特殊建築物等の内装」

別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。

(引用:e-Gov法令集|建築基準法)

簡単に言うと、第35条の2に当てはまる建築物は、内装壁や天井に用いる材料が制限されるということです。以下に簡単に解説していきます。

内装制限の対象となる建築物等

内装制限が適用される建物や室は大きく以下の4分類です。

①特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等)

②大規模建築物(階数が三以上である建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物)

③無窓居室(政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物)

④火気使用室(建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの)

内装制限一覧表

上記の4分類①~④をそれぞれさらに用途や規模で細分化して、さらにその建物が耐火建築物か否かで、どの部分を不燃材にしなければならないか等が表に纏められています。本サイトではそこまでの解説不要と考えていますので、必要な方は“内装制限一覧表”で検索する等して、見やすいものを選んでください。意外と不燃材ではなく準不燃以上とか難燃以上という規制が多くて、普段何でも不燃材で施工されている方は意外かもしれません。

不燃材とは?

不燃材については別の記事で解説しています。⇒【簡単に解説】「耐火」「防火」「不燃」とは?と、その違い。

その他注意事項

避難安全検証法

“性能規定”である“避難安全検証法”で計画すると“内装制限”等の規制が除外(緩和)されます。つまり上記を守らなくて良い事になります。「じゃあ“不燃”じゃなくても良いの?」という事になりそうでふが、そうにはならなくて、内装制限を受けない代わりに“避難安全検証法”に則った計画にする必要があり、そちらの規制を守る必要があります。高度な計算で検証されるのですが、結果、準不燃以上の性能が求められることが多いため、「緩和」というよりは、「別の規制に代わる」と考えたほうが良いです。

避難安全検証の解説はこちら⇒【簡単に解説】避難安全検証法とあらかじめの検討とは?

消防法の内装制限との違い

「内装制限」は建築基準法だけの規制ではないのが厄介です。「建築基準法は遵守したけど、消防法を見落とした」とならないようにして下さい。両方守る必要があります。建築基準法では床面からの高さ1.2mの部分(腰壁)は内装制限の範囲から除かれていたのに対して、消防同意審査要領では内装制限の範囲について、腰壁(床面からの高さが1.2メートル以下の部分)は、内装制限の対象とされています。また、建築基準法と異なる緩和規定(消化器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備等)もあります。また床面に関する規制もあります。もうパズルです。。。

条例もある

建築基準法、消防法の内装制限に加え、都道府県ごとに条例で独自の内装制限を設けているところやそのビル施設独自で設けている場合もあるため、必ず事前に内容を確認してください。

家具を不燃材にする必要はありますか?

基本移動できない什器、造作物に関しては内装制限の適用対象です。つまり置式の陳列棚等は対象外となります。では、「動かせる壁面全面の棚は不燃材でなくても良いか?」とか、「壁面に設置する脱着式の棚は?」とかが判断に迷います。この場合、大きさや設置壁面に対する面積比率等で“家具”とみなされるか“壁”とみなされるか判断が別れます。自治体の建築主事(役所の建築指導課等)に相談して下さい。また、テナントの場合、法規とは別に安全上、より厳しいルールを設けている場合がありますので、ビル管理側(内装監理室等)に確認して下さい。いずれにせよ、これらは使用者や利用者の安全のためのルールです。デザインやコストの問題はありますが、木材等の可燃性の造作を「家具」と見做して、たくさん設置する事は安全上良い設計とは個人的には思いません。遵法の視点だけでなく、安全性の視点でも不燃材や不燃加工した仕上げ材で設計する事が利用者の安全に繋がる事も意識して欲しいです。

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