【簡単に解説】防災設備と内装監理。

  • 2024年3月6日
  • 2024年6月16日
  • 法規, 知識
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内装の施工管理やPM業務に関わっている人の中に、「防災設備」の理解が曖昧な人は多いとだろう、と経験上推察します。ですので、このくらいはざっくり理解しておきましょう、の解説をします。また、どのような設備があるか?を考えるときに、何の目的で何の機能があるか?なぜ必要か?を考える癖をつけることをお勧めします。

そもそも防災設備とは?

実は防災設備という用語は法律では定義されていません。ただし、国土交通省の建築保全業務共通仕様書等では使用されている言葉で、建物およびその居住者や利用者を安全に災害から守るために設けられる設備の総称と言えます。

ちなみに消防用設備とは?

防災設備と似たような言葉で消防用設備という言葉があります。消防用設備は消防法により規定されており、「消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設」の総称です。

【消防の用に供する設備】

・警報設備

・避難設備

・消火設備

 ※「消防用水及び消火活動上必要な施設」は内装監理者には接点が少ないので省きます。

防災設備の種類

防災設備を以下の項目とカテゴライズし、解説致します。

①警報設備

②避難設備

③消火設備

④防火設備

⑤排煙設備

各項目の全ての設備を解説すると、膨大な量になってしまいますので、代表的で内装工事に縁深いものに絞ります。

①警報設備

災害や異常が発生した際に、速やかに周囲へ知らせるための設備です。火災やガス漏れなどの発生を検知し、警報ベルなどを鳴らして建物内の人に報知します。

自動火災報知設備

異常な熱や煙を検知して音や光で警告を出す設備です。以下のようなセンサーが搭載されており、異常を検知するとアラームが鳴ります。

・煙感知器

・熱感知器

・炎感知器

非常用放送設備

中央監視室等の操作盤と各テナントに設置される非常用スピーカー(+付帯設備)で成立します。内装監理者は非常用スピーカーを認識しておきましょう。上記の警報設備と連動したり、手動で操作を行います。

・非常用スピーカー

 非常時に警報設備が起動した際に音声放送を伝えるスピーカー。

・電源カットリレー

 火災信号を受信した際に、建物内の業務放送設備への電気共有を遮断することで、

 非常放送を聞き取りやすくするための遮断器のこと。

その他

・ガス漏れ火災警報設備

・漏電火災警報器

・拡声装置

・消防機関に報知できる電話

②避難設備

災害時に人々が安全に避難するための設備です。避難設備は、大きく「誘導灯・標識」「避難器具」に分けられます。

避難誘導灯

誘導灯は「非常口」へ誘導するための緑のランプです。消防署の現地確認で追加、是正されたりしますので、要注意です。

非常用照明

非常用照明とは、停電時に点灯する照明のことで、安全に避難するための最低限の明るさを確保します。電源が途絶えた際、バックアップ電源を利用して瞬時に点灯するものが多いです。

その他

・標識

・避難場所の案内表示

・避難口の表示

・避難階段

・避難すべり台

・救助袋

③消火設備

建物内で発生した火災に対し、初期消火や周辺への延焼を防ぐための設備です。

スプリンクラー(SP)設備

天井又は屋根下部分に配置されたスプリンクラーヘッド、壁面に設置された補助散水栓により、火災感知から放水までを自動的に行う設備です。消防署からの指導や指摘が多い設備で、所轄により散水障害(=未警戒)となる判断基準が多々異なります。特にSP配置が確定したあとに、間仕切りや背の高い什器のレイアウトを変更すると散水障害や未警戒区域の発生になる可能性がありますので要注意です。

消火器

消火器そのものを知らない人はいないと思いますが、標準的な規格(=10型粉末消火器)と設置基準があることを知っておいてください。また「工事中の消防計画」にも大きな役割があります。※SP止める機会が多いですからね。

その他

・屋内消火栓設備

・粉末消火設備

・水噴霧消火設備

・泡消火設備

・不活性ガス消火設備

・ハロゲン化物消火設備

④防火設備

延焼や煙の拡散を防ぐための設備のことです。

・防火壁

・防火シャッター

・防火スクリーン

⑤排煙設備

排煙設備とは、建物内で発生した火災から生じる煙を排除するための設備です。大別すると、自然排煙設備と機械排煙設備があります。

・自然排煙設備:煙が上昇する原理を利用して窓などから排煙

・機械排煙設備:天井に吸気口を設けてダクトを通して外部に排煙

 ※なお、排煙設備を設置する目的は建築基準法と消防法とで異なり、建築基準法は“避難”、消防法は“消火活動”です。

防災設備は改修・点検が重要

防災設備の点検は非常に重要なので、別の記事に詳細を記載したいと思いますが、内装監理者の方に知っておいてほしいのは、法で定められた定期点検があるということです。計画、施工、監理の際に、引渡で終わるだけでなく、引渡後に何年、もしくは何十年も定期点検をする必要があるということ、そのためには点検をできる状態にすること、そのための費用をおさえるように計画すること、使用開始の消防検査だけ終われば良いのでなく、その後も利用者は点検の対応(労力、コスト)におわれることを認識して対応してください。引渡で終わり(そのあとは知らない)のスタンスのプロジェクト管理は、その場は良くても数年でバレてクライアントから切られたり、悪質な場合は関連施設に出禁になります。

番外編:消火活動上必要な施設

※内装監理者には接点が少ないので省きます、と記載しましたが、興味ある方のために。火災発生時に消防士が迅速かつ効果的に活動するための設備です。消防活動が難しいと予想される場所に以下の設備が設置されます。

・連結送水管

消防隊が消火活動を行う際、火災が発生した階まで送水するために設置される設備です。地上の送水口と、高層建築物や地下街などの各階に設置された放水口が配管接続されています。

・連結散水設備

地下街や地下階に設置される消防設備です。散水ヘッド、配管、弁類、送水口などから構成されており、消防ポンプ車から送水口を通じて送水し、天井に設置した散水ヘッドから放水することで消火活動を支援します。

・非常用コンセント設備

非常用コンセント設備とは、消防隊が消火活動をする際に用いる機器に電源を供給するための設備です。電源、配線、非常コンセント、表示灯などから構成されています。火災発生時に電源供給ができるように消火活動の拠点となりうる場所に設置されます。

・無線通信補助設備

消防隊が消防活動を行うにあたり、地下街などの電波が届かない場所において、地上および防災センターと地下との通信を可能にするための設備です。

・排煙設備 ※省略

以上、防災設備と関連情報について解説いたしました。お役に立てば幸いです。

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