【簡単に解説】「耐火」「防火」「不燃」とは?と、その違い。

  • 2024年5月29日
  • 2024年7月8日
  • 法規
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最初に注意点です。ここでは法律用語を解説しますが、正確な定義を説明しようとすると、文章が難解になり、かえって混乱してしまいます。そのためイメージを作りやすいように、例外や詳細な文言を省略して説明するので、厳密な定義とやや異なる場合があります。ですので、正確な定義が必要な場合は専門書等を活用して下さい。「とりあえず、どういうもの?」というイメージを掴むための説明、と理解下さい。

建築の業界で使用される「耐火」「防火」「不燃」の違いを解説します。“火災に対する性能”くらいのイメージはあると思いますが、もっと根本的な違いをわかりやすくした上で、少し深掘りしたいと思います。ここでの言葉の定義の基準は「建築基準法」です。勘違いしやすい呼称や他の法令も少し絡めて解説します。

「耐火」「防火」「不燃」の共通点

火に強い“性能”を定義し、示す言葉である、という事のみです。優劣や上下関係はありません。(という認識をした方が理解しやすいです。)例えば、「防火壁」は「耐火構造の壁」の事なので、優劣とか上下関係を考えるとわけがわからなくなります。

「耐火」「防火」「不燃」の対象

まずはその機能を表す言葉が何を対象に定義しているか、を一覧にします。そうすると何となく、そもそも似て非なる使い方をされてるという事が見えてきます。「耐火」「防火」「不燃」の“性能”を有する対象は以下の通りです。
耐火:建築物、構造
防火:構造、設備、区画
不燃:材料
 ※防火地域は別途解説します。

「不燃」について解説

まず1番わかりやすい「不燃」について解説します。「不燃」は“材料の性能”を示す言葉です。材料以外には使用されません。不燃の下位グレードとして、準不燃、難燃というものがあります。紛らわしい事に、便宜上の呼称として、その3つが『防火材料』と呼ばれる場合があります。これがややこしくする要因の一つです。建築基準法では『防火材料』という言葉はありません。

「不燃、準不燃、難燃」の違いについて説明

不燃

・加熱開始後20分、燃焼しない。
・コンクリート、ガラス、モルタル、厚さが12mm以上のせっこうボード等。

準不燃

・加熱開始後10分、変形、溶融、き裂等の損傷を生じない。
・厚さが9mm以上のせっこうボード等。

難燃

・加熱開始後5分、有害な煙又はガスを発生しない。
・厚さが7mm以上のせっこうボード等

「耐火」について解説

まず「耐火」が使われる用語ついて説明します。
耐火建築物:耐火構造の建築物
耐火構造:主要構造物等に耐火性能がある構造
耐火性能:通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊、および延焼を防止するために必要な性能
準耐火建築物:耐火建築物の下位互換。耐火建築物が最大3時間に対して、準耐火建築物は最大1時間火災による倒壊を防ぐ。詳細は省きます。

耐火性能を有する耐火構造をもう少し解説

耐火建築物は、部位(柱、壁など)ごとに最上階から数えた階数によって所定時間(1時間耐火等)の耐火構造が定められており、屋根・階段についてはどちらも階数によらず30分の耐火構造が求められます。「耐火構造」とは、壁や床などが一定の耐火性能(通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊、および延焼を防止するために必要な性能)を備えた構造のこと。階数や構造部分の部位で異なるが、最長3時間の火災に耐える性能が求められます。主要構造となる壁・柱・床・梁(はり)・屋根・階段は、仕様が定められており、国土交通大臣の認定を受けたものでなければなりません。不燃材料を使用した、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の両面を耐火被覆した構造、コンクリートブロック造などが主な構造方法となります。

「防火」について解説

まず「防火」が使われる用語ついて説明します。
防火構造:防火性能を有する構造
防火性能:建築物の周囲で通常の火災が発生した場合に、延焼を抑制するために必要とされる性能。外壁や軒裏が火災による加熱を30分受けても、建物を倒壊させるような損傷を生じないこと
防火設備:遮炎性能(火炎を有効に遮る性能)を有する設備、防火戸等。
防火区画:防火壁と防火床で構成された区画 ※防火区画⇒
防火壁 :耐火構造の壁
防火床 :耐火構造の床

たらい回し感が否めませんが、こういう事なのです。なので、難解になってしまいます。少し補足ですが、「耐火構造」は『建物の倒壊を防ぐ』のに対し、「防火構造」は『建物の延焼、燃え広がりを防ぐ』とイメージください。

防火地域とは?

「防火地域」はそもそも定められている法律が「建築基準法」ではなく「都市計画法」です。
“市街地における火災の危険を防除するため定める地域”として、例えば、延べ面積が100平方メートルを超える建築物については「耐火建築物」としなければならない、等の定めがあります。「防火地域」の建物を「耐火建築物」にする。。。それはそれは難解になります。

まとめ

「不燃材料」で主要構造部である柱や防火壁/防火床を作り防火区画や防火設備等が設置され、「耐火構造」としたものが「耐火建築物」、とまずはイメージして良いと思います。「不燃材料」で軒裏や外壁を作れば「防火構造」になります。ちょっと乱暴ですが、まずのイメージはそこから始めると良いと思います。

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