【内装施工管理】クロス工事の管理。

  • 2024年2月24日
  • 2024年5月3日
  • 技術, 経験
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クロスというのは壁紙の事です。
クロス工事とは壁や天井に壁紙を貼る工事の事です。
施工管理の難易度としては低いですが、知っておかないと困る事も多々あります。
現場で解決できる事であれば良いですが、工程を遅らせたり、
是正対象になり、無駄なコストや時間がかかることにもなります。
甘く見過ぎないように注意が必要です。

クロス工事の管理の特徴

仕上げ工事の中では比較的施工が容易です。
見た目も製品の模様で決まるため、職方の技量で差は出にくいです。
工事中の汚れはパテの粉を気をつける必要がありますが、
塗装程目の細かいパテは使わないですし、糊も水性なので汚損に危険は低いです。
なので職方も基本、綺麗な服装ですし、仕上済の現場に慣れていますので、
養生等も管理者がそこまで気を遣わなくても事故は起きにくいです。

作業手順

まずは通常の作業手順を知っておきましょう。剥がす際の事も知っておいてください。

①既存のクロス剥がし

クロスを剥がす前に、コンセントやスイッチ、照明などを外しておきます。
外す前に写真を撮って、元の場所を押さえておくとともに、
もともとの汚れや破損はないか、等を確認しておきます。
もともとあった汚れや破損を作業側の責任にされないように。。です。
クロスを剥がすときは、裏打ち紙と呼ばれている裏紙を残すことで、
新しく貼るクロスの接着強度を保てますが、裏紙が剥がれてしまうこともあります。
この辺りは職方にお任せで良いです。
工程を縮めるためやコストを抑えるために既存のクロスに重ねて貼る要望が出ることもあります。
その場合はベテランの施工管理か職方と現場を確認してください。
既存クロスの状態によっては避けた方が良い場合があります。
基本は剥がし張り替えをお勧めしましょう。
当たり前ですが、どんなに綺麗に貼っても、古いクロスが剥がれたり、
浮いたりすれば、新規クロスも浮きます。
その場合でも施工不良と言われてしまう事もあります。

②下地処理

クロスを貼る前に、貼り付け面が平らになるように、下地処理を行います。
クロスの裏紙が剥がれてしまったところ、
クロスの下地には石膏ボードが使用されることが多いですが、
ボードの継ぎ目やビスなどがあり、がたつきのある状態です。
ビス跡などの段差等にパテを塗り、乾かし、ペーパーを当てます。
またスチールパーテション等、糊の吸着性が悪い素材の場合はシーラーを塗り、
クロスが貼れる下地にします。

③クロス貼り

下地処理が終わったらクロスを貼るのですが、
クロスの裏面に専用の機械を用いて糊付けを行い、石膏ボードにしっかり密着させます。

【クロスの貼り方の種類】
クロスの貼り方には、主に次の2種類があります。
・突き付け貼り
 突き付け貼りとは、クロスを重ねずに、端(はじ)と端を合わせて貼り付ける手法です。
 少しのズレも許されない、ベテラン職人向けの貼り方です。

・重ね切り
 重ね切りとは、クロスを重ねて貼り、
 重なっている部分を定規やカッターで切り落とす手法です。

④施工後

建具枠・巾木などに付いているパテや糊を拭いて掃除をして終わりです。
掃除をしっかりしないと時間が経ったら建具枠や巾木に付いていた糊が乾いて浮いてきます。
また、地震などの振動で建物が揺れた後にクロスの継ぎ目に隙間があく場合がありますので、
コークボンドで隙間を埋めて綺麗に処理します。

クロスの種類

ビニールクロス

ポリ塩化ビニール樹脂の壁紙のことを指します。
面出にはプリント加工やエンボス加工などが施されているものが多いです。
色やデザインが豊富なのが特徴です。木目調、レンガ調、石目調、織物調などがあります。
ビニールクロスは日本で最も普及している壁紙です。
価格が比較的安く、施工性が良いためです。
また水を通さないのでちょっとした汚れは簡単に落とせます。

紙クロス

紙を原料にした壁紙のことです。
パルプや和紙、再生紙など多種多様な紙が使われています。
クロスにより風合いが違いますので、デザイン性の高い仕上が可能です。
また和紙の壁紙であれば湿気を吸収し、乾燥時には湿気を出してくれます。
但しビニールクロスなどに比べて薄いため、施工難易度が高く、
下地の目地が出る可能性があります。そのため凸凹した壁に貼るのは向いていません。
また紙なので水分などが染み込むとシミになり、落ちにくいことも多いです。
壁紙と壁紙の境目であるジョイント部分が目立ちやすい場合もあります。
さらにビニールクロスなどと比べると価格が高いです。

織物クロス

織物、不織布、フェルトなどを使った壁紙のことを指します。
一般的にはレーヨンを使った壁紙が多く、麻や綿などを使ったものもあります。
高級感やボリューム感が出るので、ホテルのロビーや結婚式場などでも使用されています。
また、調湿性と通気性に優れており、結露しにくいのが特徴です。
デメリットとしては他の壁紙に比べて費用が高価な点です。
ただし織物クロスはビニールクロスに比べて耐久性が高いです。
また織物クロスをキレイに貼るには経験の長い職人が必要なので、
業者選定の際に注意しましょう。
(普段からグレードの高い案件を請け負っている会社に依頼しましょう。)

不燃認定について

不燃クロスとは?

不燃クロスとは、法定不燃石膏ボードへ施工することによって、
不燃仕上げになっている壁紙のことです。
壁紙単体で不燃性能があるわけではなく、
壁紙の不燃性能は下地基材と施工方法との組合わせによって認定されます。

不燃認定とは?

建築基準法には防火材料についての項目があり、
壁紙の防火性能の認定評価として「不燃」「準不燃」「難燃」の3つが定められており、
以下の機能が必要です。
・燃焼しないものであること
・防火をする上で有害となる変形や溶解など起こらないものであること
・有害な煙やガスが発生しないものであること

「不燃」「準不燃」「難燃」の違いは?

・不燃材料:加熱開始後20分間は燃焼しない
・準不燃材料:加熱開始後10分間は燃焼しない
・難燃材料:加熱開始後5分間は燃焼しない
「不燃 > 準不燃 > 難燃」の順に防火性能が高いです。

クロス工事の注意点と雑記

品番の確認

意外と間違いがあります。
職方もわざわざ事前に「今日のクロスは何色だー」とか確認しないですし、
特に管理者が何も言わないとクロス屋の手配書通り進めます。
そもそもの手配書が間違っていたりすると、職方は気づかず、
下地処理して、全数カットして、糊付けして、いざ貼る時になって、
「その柄なんか違う!」見たいな事もままあります。朝一に確認しましょう。

ロット番号違いの確認

クロスに限らないのですが、同じ品番でも並べると色が結構違ったりします。
これは生産メーカーでもどうしようもない事なので、
ロットが違う場合には、真横に並ばないように、縁を切って使用しましょう。
気にしてくれるベテランもいますが、わけわからん職方もいます。

数量と貼る面の確認

特殊なクロスがある場合は事前に貼り方を確認しておきましょう。
柄を合わせながら貼る必要があるものやデザイナーが横貼りを指定している場合もあります。

作業スペースの確保

一般オフィスやマンションであれば場所の確保は難しくないと思いますが、
狭い店舗だと意外と糊付機を置いて作業する場所の確保が難しいです。
その場合は事前に相談しておいてください。
少量であれば手塗も可能ですし、駐車場や屋外等で行う場合もあります。
ただ、やはり事前にわかっていないと段取りや用意する道具も異なりますので、
危ないと思ったら事前に相談です。

職方の技量

クロス貼りはあらゆる職人作業の中で“比較的”難易度が低いと思います。
(もちろん上級の方は圧倒的に仕上がりが違います!)
そのせいか職方も軽い人をちらほら見受けます。
偏見覚悟ですが、安価なマンション施工等に手配される職方は下手な人が多い印象です。
パテのしごきが甘い、張り合わせが汚い、カットが汚い、
入隅の処理が甘い、、、等々あります。
特に人手不足の際はどんな職方がくるかわかりません、注意しましょう。
(どの工種も共通ですけどね、、クロス貼りは仕上なので如実です。)

おさまり

当たり前ですが、出隅で貼り分けはできませんので、その場合は見切り材が必要です。
入隅はコークボンドで処理できます。

工程。

本来は壁下地→木枠→PB貼→造作家具→壁仕上→床仕上、ですが、
製作納期の関係で木工を後回しにせざるを得ない場合があります。
この場合の木工家具廻りのおさまりはベテラン管理かベテラン大工に相談してください。
文章では表現できませんが、とにかく順番が変わるだけで、
収まりや仕上りが全く異なります。

jpegアイキャッチクロス工事
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