今回は床仕上げ工事の中でも比較的とっつきやすい、床タイルカーペットと床塩ビタイルについて解説したいと思います。比較的、監理者としてはとっつきやすい工種とは思いますが、意外と知らない落とし穴やよく話題になる問題点もありますので、打合わせもスムーズになりますし、現場楽になります。
タイルカーペット、塩ビタイル施工の共通基本情報
安価で施工性もメンテナンス性も良いためオフィス、店舗、あらゆる施設でよく採用されます。安価と書きましたが当然グレードもあるので、品質の良いものは相応の価格になりますのでご注意です。1枚のサイズが300~500mm程度が標準で、厚みは3mm~6mm程度、あらゆる下地に対応しています。施工手順の概略は、貼る面を清掃して、墨出しして、糊を塗って、順番に貼っていけば施工できます。汚損があった場合も、その部分だけ張り替えれば済むのでメンテナンス性も高いです。まずはこんなイメージを掴んでください。以下はそれぞれの特徴を掘り下げます。
タイルカーペット
最強の床材だと思います。(笑)使用されている大半は500mm角です。
施工可能な床下地
・OAフロア (コンクリート、ブラスチック、スチール、MDF)
・木下地(コンパネ等)
・モルタル、コンクリート
施工不可能な床下地
・カーペット等のやわらかい床
・凹凸の多いコンクリート床
※但し、モルタル等で補修すれば可能
施工手順
①貼る面を綺麗に掃除します。。ゴミやほこりがあると接着材がきちんと付着しません。またモルタル等を施工した場合は十分に乾燥させます。
②割付を決めます。通常、部屋の中央(廊下であれば長手の中央)に墨を十字に出し、貼り始めの箇所を決めますが、部屋の4隅等に細かい部材が入らないように割り付けます。特にドア等の開口部がある場合は注意してください。
③決めた割り付け、基準線に沿って敷き込みます。貼り方は通常、「市松貼り」か「流し貼り」のどちらかです。

④壁ぎわ等、現場に合わせてカットします。
注意点と雑記
・ロット注意です。ロットが違うものを同じ面に敷き詰めるとあきらかにガラが変わります。見切れる場所で変えましょう。
・ロールカーペットに比べるとさすがにクッション性等に劣ります。必要に応じてアンダーレイシート(下貼りシート)を活用してください。
・ソフト巾木はタイルカーペットの後施工用と前施工用がありますので施工手順と収まりを踏まえて選定ください。
・タイルカーペットは意外と重いです。特にケースに入っているものを持ち上げるときは腰に気を付けてください。
・予備材を確保しましょう。できればクライアントに頼んで保管してもらうようにして下さい。汚損があった際に“真物(まもの)”であれば素人でも貼りかえられます。
・予備材や廃棄材の現場での有効利用に“足ふきマット”代わりに使用したり、養生、クッション材としても利用する事ができます。
・個人の賃貸アパートでフローリングの部屋に敷き詰めるのもお薦めです。床に傷をつけなくて済み、冬も冷たくないですし、汚れれば部分的に貼りかえられます。万能ですな。
・若かりし頃「市松で良いんだよね?」と職人に聞かれ、「え?」てなりました。「(ただ貼るだけって先輩から聞いてだんだけど、、、)市松ってなんですか?」内装仕上の職方さんは比較的優しい方が多い(偏見)ので聞いてきます。「こうやって貼るのが市松でこうが流しだよ。ふつう市松が多いけど、一応どちらにも対応の型番だから。」日曜日だけど、先輩に電話で聞いてみる。先輩「あーデザイナーに聞かないとわからないな、○○さんに聞いてみて。日曜日だけど出るかな。」私「(俺が電話するのか。ちゃんと事前に聞いておいてよ。。)わかりました!」となります。笑捕まれば良いのですが、捕まらないので、もう市松で走りました。あとで確認するまでドキドキですが、、、
塩ビタイル
通常の塩ビタイルは厚みが約3mmで固く、平らな面に圧着するように施工します。安価で汚れにくく、汚れてもすぐに拭けます。ですが、タイルカーペットのように簡単に剥がしたりすることができません。見た目や表面の素材は塩ビタイルと同じで、タイルカーペットのように柔軟性がある「置敷き塩ビタイル」というものもあります。厚みは4~6mm程度です。
塩ビタイルの呼称(ざっくり解説)
とりあえず硬質の床材は“塩ビタイル”と呼んでおけば間違いないです。(笑)よく“Pタイル”と耳にすると思いますが、あれは商品名です。他にも商品名で呼ばれるものはたくさんありますし、流行りで時期によって異なったりします。(例:塩ビシート→ベルビアン→ダイノック等)少しだけ、塩ビタイルを深堀すると、以下の2つに分類され、違いは原材料です。機能はほぼ同一とお考え下さい。
・コンポジションタイル:硬質。複雑な加工はできないが、耐久性に優れる。Pタイルはこちら。
・ホモジニアスタイル :やや柔らかい。加工し易く、やや耐久性に劣る。
施工可能な床下地
【塩ビタイル】
・コンパネ
・平滑なモルタル面
※OAフロアは不可
【置き敷き塩ビタイル】
・OAフロア (コンクリート、ブラスチック、スチール、MDF)
・木下地(コンパネ等)
・モルタル、コンクリート
※タイルカーペットと同じ
施工手順
施工手順はタイルカーペットとほぼ同じなので割愛します。(もちろん多少は異なりますので、詳細を知りたい方は大手メーカーの施工要領をご確認です。)
注意事項と雑記
メンテナンス
塩ビタイルの場合、敷設後に“ワックス”をかける必要があります。(ワックス不要の製品もあります。)
工事工程を組む際に注意してください。ワックス塗布エリアに誰も入らない時間を作る必要があります。またツヤも要注意です。ワックスにマットタイプや光沢のタイプがあるので、店舗等の場合、事前にデザイナーの確認が必要です。さらに外光の入り方で塗りムラが目立ち、オープン前にトラブルになる事もあります。高級物販やデザイナーの拘り等が強い場合は要注意です。
OAフロア
タイルカーペットの場合はそこまで気にする必要はないですが、目地(目透かし)があるOAフロアに置敷き塩ビタイルを貼った場合、目地ラインが浮き出てくることがあります。OAのメーカーカタログに“置敷きタイルに非対応”などと、しれっと記載あったりしますので要注意です。
床見切り
素材の異なる床材がぶつかる場合は床見切り材を入れたほうが良い場合があります。厚みが同程度で下地レベルも同じであれば機能上は不要ですが、見た目で要する場合もありますので施工前に要確認です。
雑記
こんなこと言ったら床仕上屋さんに怒られるかもしれませんが、天井工事や壁工事など特に下地工事は監理者も大変なことが多いです。が、床仕上工事は強制的に自分も他の職人も入れなくなり、監理することも少ないので、施工管理は超楽です。だいたい床仕上工事は全体工程のほぼ終わりころになりますので、体を休めつつ、引渡準備をするのが良いですね。以上、床仕上げ工事のタイルカーペット、塩ビタイル編でした。おいおいフローリングや塗床なども記事にしたいと思います。