【内装施工管理】スチールパーテションの監理。

  • 2024年3月12日
  • 2024年6月16日
  • 技術, 経験
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オフィス移転のプロジェクトマネジメント担当や現場施工管理者の初心者に役立つであろう基礎知識を記載します。

スチールパーテションとは?

そもそも“パーテション”とは部屋などの空間を間仕切るための建材の総称です。素材や大きさ、機能、用途等で名称が変わりますが、内装監理で覚えるべき、特にオフィスで需要の大きい、“スチールパーテション”を中心に記載致します。大手のスチール什器系メーカーで生産されており、運用的な用途と法規制に対応し、さまざまな製品が展開されています。呼称として単に“パーテション”と呼んだり、“スチパー”と略したりします。主にテナントオフィスの会議室やオフィス内廊下と仕切る壁などに使用されます。建築全体から見れば、床上~天井下の簡易間仕切りというくくりになり、オフィスビルや商業施設等の本体工事で使用されることはまずありません。

スチールパーテションの特徴

スチールパーテションは、名前の通り、表装はスチールでできており、スチール以外にはアルミやガラス等があります。

メリット

・遮音性能が高い

・断熱性能が高い
石膏ボードを仕上鋼板で覆ったパネルをレールに建てますが、中空部を設けて両側に建てますので、中空部にグラスウールを仕込むことでより遮音性や断熱性が向上します。

・施工性が良い
LGS+石膏ボードのように現場加工が少なく汚れもでません。また規格で組み立てやすいようにメーカーで工夫されていますので、職方の技術による施工精度の差が出にくく、別途仕上げる必要もありません。(別途シート等を貼るなども可能です。)

・再利用が可能
部品の多くを壊すことなく解体ができますので、間仕切りレイアウト変更の際やテナント移転でも利用が可能です。(天井高さ等の条件が同様であれば。)

・多種多様
用途、機能に合わせてメーカーであらゆるタイプの製品が開発されています。防音性、意匠性、透過性、透光性などなど。

デメリット

・コスト高め
“LGS+PB”やアルミパーテションと比較し、コストは高いです。

・寸法の融通が利きにくい
LGS+PBは現場加工であらゆる収まりを可能にしますが、スチールパーテションの場合、部材の規格があるため、レイアウト寸法に一定の制限があります。

・本格的な遮音や防犯機能に劣る
スラブtoスラブの間仕切りは出来ないため、遮音や侵入を高度に担保するためにはLGS+PBで行う必要があります。

スチールパーテーションの施工方法

部材

・レール
柱やパネルを固定するための部材です。天井と床に一本ずつ設置します。

・柱
パネルを取り付けるための部材です。

・パネル
間仕切りを行うための板になる部材です。

施工手順

施工手順は主に4つの工程に分けられます。

・1.墨出し
間仕切りライン(レール設置位置)に墨を出します。※墨出しの管理

・2.レールの設置
床と天井にレールを設置します。

・3.柱の設置
天井と床に設置したレールの間に柱を設置します。

・4.パネルの設置
レールと柱に合わせてパネルを設置します。

スチールパーテションの施工管理

工期

オフィスの移転工事やレイアウト変更工事は他の入居済テナントの迷惑にならないように、土日に行われることが多いです。本当に短納期の場合は、金曜の夜から月曜の朝までに行う事もあります。ですので、時間単位の工程調整が必要になる事も多く、また次に記載する「専門部隊」もそのような現場に対応するため、時間と効率重視な面があります。それらを踏まえ、事前に時間工程を組めるようにしておきましょう。

専門部隊

スチールパーテションを設置する専門部隊があります。多くはスチールメーカーの協力会社として、生業を行い、各パーテションの規格や施工方法を熟知していますので、段取りさえすれば図面通りにかなりのスピードで進んでいきます。(他の内装工事の工種と比べると人数も多く、異常な程に速く感じます。)

部材の大きさ

多くは事前にプレカットしてきますので、必ず現場調査を行い、作図し、図面を確認した上で施工を進めて下さい。専門部隊はスピード重視なところもあるので、現場での想定外の対応に融通が利かない事も多いです。

ELV搬入

大型のパネルと長物のレールが必ずありますので、ELV寸法を確実に抑え、楊重時間を想定し、時間単位で工事工程を組むための楊重計画を立てましょう。もしくは立てさせましょう。

関連事項

計画時の天井設備

間仕切り計画全てに共通することですが、特にスチールパーテションを立てるだけのような工事の場合、天井設備、とくに防災設備が軽視される場合があります。照明、空調、煙や熱感知器、スプリンクラー、誘導灯や非常照明、非常用スピーカー、点検口等あらゆる設備との干渉や障害を排除する必要があります。ランマオープンにすれば良いだけではないので、きちんとテナント(クライアント)に理解頂き、知見のある設計者と計画を進めましょう。適当に進めてしまい、後日、消防検査や法定点検の際に、無償の手直しをせざるを得ない事態になりかねません。

※スプリンクラー障害についてランマオープンならOKなブログ記事も散見されますが、所轄消防により見解が異なります。十分注意ください。

設置方法の計画

どこに荷重をかけてどのように止めるか計画し、ビルオーナー又はビル管理会社、内装監理室に確認しましょう。例えばシステム天井のバーに止める場合に、B工事による天井下地補強が必要になる場合があります。

予備知識

各スチールメーカーが丁寧なカタログや施工要領書等をWEBにアップしています。製品情報や施工要領等を確認して、不安な事があれば事前にメーカーに問い合わせれば、比較的、丁寧な対応をしてくれますので、遠慮せず問い合わせましょう。まずはこのあたりを押さえておけば、慌てる事も少ないと思います。以上、スチールパーテションでした。

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