現在の内装施工会社でどのような教育方法が取り入れられているかはわかりませんが、私が入社したころ(2000年初期)はひとまず工事現場に投入されました。 ちなみに小さい会社ということもあったと思いますが、 まだギリギリ デスクで煙草が吸えた時代で、 暇なときはデスクで煙草吸いながら、いわゆる事務員さんが淹れてくれたコーヒーを啜りつつ、 建築雑誌に目を通すなんていう日も少なくなかったです。 なんて良い会社に転職(2社目)したんだと思いました。
1年目の工事現場
話を現場に戻しますが、最初の工事現場数か月は以下のような事を行いました。
・現場で大工等の職方の手元
資機材を作業しやすいようにそろえたり、重量物等を一緒に持ったり、押さえたりする手伝い
・作業過程で出た残材の片づけや汚れの掃除
ガラ袋や廃材ようのかご台車にゴミを片づけたり、ホウキでほこりや木くずの清掃
・汚損からの養生
搬入経路や作業スペースの床や壁、建具枠の養生。
養生の詳細はこちらを参照ください:【施工管理】養生の種類と道具と方法
このような事をしながら現場を覚えました。 最初はこれらすらままなりません。大工さんに聞きながら、専門用語を覚えながらです。 工事中の現場を見たところでどこが仕上面か下地面かわからないので、 傷や汚れがまずい箇所も大丈夫な箇所も見分けがつきません。 搬入の際、建具の三方枠を上下さかさまに置いて、“仕上を下にするな!”と怒られもしました。先ほども書いたように素人には四角い木枠(実際は仕上三方+養生1方)にしか見えないのです。そして養生を剥がすと綺麗をキープしたかった場所にほこりが入り込んでいたりして、養生の甘さに気づきます。
ただこれらを一生懸命に行う事で、大工が次に何をしたいか、何が必要か、どこに物があると良いか、 何が仕上で、何が下地で、どんな養生が適切で、どういった副資材や仮設材があると便利で、どのような作業にどのくらいかかるか、何人必要か、等々、現場を管理、段取りするに必要な情報が体感として身に付きます。 それらの経験が言語化されると、他の協力会社や職人さんと会話するときの説得力が違います。
雑記
当時のこの会社がもともと特注の木工造作家具屋だったので、丁寧で精密な仕上ができるベテラン大工を中心としてたのでそれも良かったです。木工造作がある程度わかれば、あとは何でも応用で理解しやすくなりますし、20才台前半で仕上がりの目は肥えました。 大工集団が○○組という親方率いる集団だったのですが、“まっつぁん”と呼ばれる最若手エースが63才という超ベテラン集団でしたので、 可愛がっても貰えたし、今でもなかなかあのレベルの大工には出会えません。 もう会えない気もします。(自分の中でやや神格化してるかもですが。)当時の先輩に教わった格言は“現場を出るとき(工事が終わったとき)は工事前より綺麗にしろ”というプロ意識の高い格言は覚えています。 お客サービスとしてとても良い意識ですよね。
現場専門用語の解説
最後にかっこいい大工の工具専門用語集です。 多少業界や地域で差はあると思いますが、使えるとかっこいいと思っていまだに使っています。
・玄翁(げんのう):いわゆる金槌、ハンマー
・手ノコ :のこぎり
・手回し :プラスドライバー
・見付(みつけ) :サッシ枠を正面から見た時の幅の寸法
・見込(みこみ) :見付け正面に見たときの奥行き、もしくは厚みのこと
・散り(ちり) :平面(壁面)と平面(枠面)の間の差、段差
・小口(こぐち) :部材の横断面の切り口
・真物(まもの) :組立て材に対する単一材の呼称。タイル,れんが,ブロックなど単体を切断せず既成品寸法のまま使用する場合にもいう
・上端(うわば) :物や部材の上部分、最上部のこと。反対は、下端(したば)
・レベル :敷地や建物の水平基準を指す。レベルを出す、見る等
・陸墨(ろくずみ):水平に打たれた墨(ライン)の事
・いんにいっさん :1寸2分×1寸3分(36mm×39mm)
・いんごいっさん :1寸3分×1寸5分(39mm×45mm)
・2間×3間(にけんさんげん):1間は約1.82mで1坪は畳2枚分。2間×3間=3.64m×5.46m。ブルーシートやテントサイズ等で使用。
・4×6板(さぶろくばん) :板材の寸法。3尺×6尺。910mm×1820mm。
・4×8板(しはちばん) :板材の寸法。4尺×8尺。1230mm×2430mm。
・木っ端(こっぱ) :用材を切り取ったあとに残る木のきれはし。木くず。