【内装施工管理】PB工事の管理。

  • 2024年2月5日
  • 2024年6月16日
  • 技術, 経験
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「PB工事」とは、PB(プラスターボード)を軽量鉄骨の上に張り付ける工事のことをいいます。軽量鉄骨にPBを張り付けると、それがクロス貼りや塗装の下地になります。コンクリート下地にPBを貼り付けるGL工法というのもありますが、別の記事で紹介します。

PBの概要

PBとは、石膏の芯材の周りを特殊な紙で包んだボードです。水周りに強い「耐水PB」や耐火性能に優れた「強化PB」など、いくつかの種類があるため、用途に応じて使い分けることができます。厚さが12.5mmのものは不燃材、9.5mmのものは準不燃材として認定されています。

LGSの概要

PBを張り付ける下地材を、「LGS」といいます。「LGS」とは「軽量鉄骨」のことで、「Light Gauge Steel(ライト・ゲージ・スティール)」の略称です。

詳細は別の記事で⇒【内装施工管理】軽鉄工事の管理。

PBの特徴

PBは、一般的に以下の特長があります。

メリット

・防火性能が高い。

・遮音性能が高い。

・施工性が高い。

・クロスや塗装の下地処理が楽。

・耐アレルギー性能が高い。

・材工で比較的安価。

デメリット

・水や湿気に弱い。

・点の衝撃に弱い。

・釘やビスの引っ掛かりが弱いため物を固定できない。

PBの種類

前述した通り、さまざまな機能を備えたPBがあります。

石膏ボード(プラスターボード)

もっともスタンダードな製品で、壁や天井の内装材として広く使用されています。(厚み:9.5mm、12.5mm、15.0mm)

強化石膏ボード

通常の芯材部分にガラス繊維などを加えて、耐火性・耐衝撃性を向上したプラスターボード。防火性能が求められる場所で使用します。(厚み:12.5mm、15.0mm、16.0mm、18.0mm、21.0mm、25.0mm)

構造用石膏ボード

強化石膏ボードの耐火性能・耐衝撃性に加えて、耐震性能を高めた製品。建物に掛かる力を支える耐力壁への使用に適しています。内装で扱う機会はほぼないですがこんなのもあるよくらいで。

化粧石膏ボード

表面に塗装加工やデザインを施したプラスターボード。壁や天井の仕上げ材として使用します。(厚み:9.5mm、12.5mm、15.0mm)メジャーなところで、天井材のジプトーン(吉野石膏)とかです。あと仮囲いとかで良く使用されます。

シージング石膏ボード

芯材および表面に防水加工を施したプラスターボード。厨房や洗面室など、湿度の高い場所で使用されます。(厚み:9.5mm、12.5mm、15.0mm、16.0mm)

※岩綿吸音板(おまけ)

“石膏”ではなく、“岩綿(ロックウール)”なのですが、ソーラトン(吉野石膏)という天井材がよく使用されます。ただし脆く折れやすいため、石膏ボードと違いそのまま張り付けることはできず、PBを捨て貼りしたあとに、タッカー止めします。見た目もジプトーンと似ており、吸音性、断熱性、耐火性に優れます。

PBの施工方法

一層貼りの場合

ビスでLGSに止める。大きさ切って、(仕上る場合は)目地カットしてLGSでビスに止める。工具はインパクトではなく、コンプレッサーを使用した専用のビス打機でやるので早いです。通常、2層貼りなのですが、仮設間仕切りや倉庫等のそこそこのグレードでで良い場合は一層です。もしくは羽目板等で仕上げる場合ですね。

二層貼りの場合

一層目(捨て貼り)をビスで止めます。目地カットも不要です。多少粗くてもOK。2層目は綺麗に貼ります。ボンドを塗って、ビス打ち機でなく、エアタッカーを使い、ステープル針で止めます。大き目のホッチキスのようなものなので、ビスのように頭も大きくなく、仕上がりも綺麗です。

※何で仕上げるかによって、精度や工法、目地カットの要否等、きちんと決めて職方に伝えて管理しましょう。

注意と雑記

横目地もっこりを下げましょう。

塗装仕上げの場合は横目地を下方に持っていく。通常のPB(t9.5、t12.5)の大きさは約900×1800です。壁にはるときには縦長に貼るのですが、天井高さが2600くらいの部屋で1800を床において貼ると目線のうえくらいにくるので、天井照明のちょうど悪い角度になり、目地パテのもっこりが目立ちます。なので、1800を天井側にあてて貼れば、床から800(2600-1800)くらいのところに横目地がきますので、目地パテもっこりが目立ちません。但しPB屋さんは疲れるので嫌がります。特に当日いうと不機嫌になります。。事前に担当者に行って、かならず職方に伝えてもらいましょう。

重量物を固定できない。

かなりの壁材に使用されますが、例えば“棚”とかをつけようとしても、PBはそこまでの強度がないため設置できません。その場合、以下のような方法がとられます。重量やコスト、状況に応じて工法を採用してください。
・PB貼り時点で分かっているのであれば、先に下地を仕込んでおくのが一番良いです。PB2層貼りの場合、一番簡単なのは捨て貼りにベニヤ12tを使用する。但し、防火仕様制限に注意です。かなりの重量物であればキチンと下地を設計してください。(鉄骨組んでボルト出す、とか)

・壁がクロスや塗装で仕上がっているのであれば、PBを止めている下地(LGSや木柱)に止める方法があります。場所を調べるには叩いて音の違いを聞いたり、軽鉄であれば金属探知機で探したり、長いキリ等で刺してみるという手もあります。

・上記もだめ、かつ、そこまで重くないものであればボードアンカーを使用する手もあります。壁が塗装等で仕上がった後でも可能ですが、PBの厚みと重量物とアンカーの種類をよく検討する必要があります。

ランナーが出っ張る。

高級物販店等でデザイナーがデザインにかなり凝ったりすると、「巾木無し」「枠のチリ等をつけずフラット」といったデザインにする場合があります。その時に意外と困るのが「LGSのランナー」です。スタッドは65mmですがそれを差し込むために67mmあります。塗装仕上げ等の場合、それがゆえにどうしても仕上がりに段差ができます。(精度の高い仕上の場合、壁の仕上がりもマジで1mm単位で攻めますよ。)なので下図のような裏技を使ったりします。ちょっと大げさに書いていますが、ランナーのせいで枠などの収まり部分の塗装仕上げが“ガチガチ”になって困った方は試してみてください。(防火仕様や強度に注意です。)左側が通常の収まりで右側が裏技です。

グラスウール

ガラスを主原料とする人造繊維で、断熱性、不燃性、吸音性に優れており、PB張る前にLGS間に敷き詰める場合があります。ちくちくします。素手はやめましょう。水で洗ってもずっとちくちくします。

楊重

多分20代の一般的な若者だったら、PB9.5tで3枚、PB12.5tで2枚、、頑張って3枚くらいです。何が?運ぶんです。下請けの監督は自分で。(笑)予算や物量がある場合は楊重屋さんに頼みましょう。とんでもない人たちがきて一回で5~6枚かついでさっそうと運んでいきます。ただ彼らはスピード勝負(一日に複数現場こなして稼ぐ)なので、ほっとくと埃や汚れ、大きな音を気にしません。養生するなり、先に注意しておくなり、壊れやすいものは避けるなりして管理しましょう。今の仕事は自分で管理するわけではないので、PB貼りってどんな感じだったかなーと思い出しながら書きましたが、忙しすぎて帰れなくて、スケルトンの現場に積まれたPBの上に養生用の毛布でくるまって寝たこともあったなー、PBは断熱効果に優れます、を体感しました。泣

jpegアイキャッチPB工事
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