【簡単に解説】工事工程の種類と作成方法、作成に必要なこと。

  • 2023年11月26日
  • 2024年7月15日
  • 知識
  • 968View
  • 0件

今回は工事工程について書きたいと思います。内装工事関連の業務では大きく2つのスケジュールがあると思います。“企画設計から開業までのフローを示したプロジェクト全体スケジュール”と“工事着工からお引渡しまでの工事手順を示した工事工程表”です。どちらも関係者と共有して、いつ誰が何をすべきかを共有するためのツールです。特に工事工程は工事現場を管理することに特化しています。

工事工程表の種類

工事工程表にも書き方が何通りかあります。内装工事で使用される代表的な2つを紹介します。

・バーチャート工程表

・ネットワーク工程表

物件の規模や作成目的にあわせて使い分けると良いと思います。

バーチャート工程表

縦軸は作業項目、横軸は日付です。各工事項目の工事日数を棒の長さで記載します。どの作業がいつ始まり、何日かかり、いつ終わるのかが一目で把握できるのが特徴です。小〜中規模くらいの内装工事の場合はバーチャート工程表で十分と考えられます。

バーチャート工程サンプル

メリット

シンプルなため作成が簡単です。また見やすいため、工事着工後も工種毎の作業スケジュールが確認しやすいです。初心者の方もバーチャートの工程表から作成してみると良いと思います。初めてバーチャートを見た人でも理解しやすく、設計者や専門知識のない発注者でにも説明しやすいです。

デメリット

別の工種との関連性の計画や管理は視覚化できませんので、それらは頭の中で行う必要があります。また、単一作業の進捗管理には不向きです。

ネットワーク式工程表

バーチャートと同様に作業項目は縦軸で横軸が日付てます。関連する工事を矢印線でつなぎ、工事全体の流れを明確に示す工程表です。工事ごとの余裕日数を割り出すことがもでき、効率的な工程管理を行うことができるのが特徴です。中〜大規模の複数のエリアで複数の工種が関連する場合はネットワーク工程表が向いています。

ネットワーク工程表サンプル

メリット

関連工事の前後関係など工事手順を明確に示すことができるため、工事関係者全員が全体像を把握しやすい。ネットワーク工程表を作成するメリットには、主に以下が挙げられます。

・工事の順番の可視化

・各工事に必要な日数の可視化

・工事全体のスケジュールの可視化

ネットワーク工程表は、各工事に要する日数を可視化することができます。大きなプロジェクトになればなるほど工程が複雑になり、同時並行させる工事ルートが複数生じ、各工事ルートに要する日数も異なってきます。その場合、最も工事日数を要する工事ルートを重点的に管理することにより、その工事ルートの工事期間を短縮化することができ、他の工事ルートの待ち時間の削減にも繋がるため、工事全体の工期の短縮化が図れるのです。また、工事日数が明確になることで近隣説明の際に根拠を提示しながら説明することができるという点も、ネットワーク工程表のメリットであると言えるでしょう。

デメリット

専門用語が多く作成方法がやや難しいです。そのため修正も手間がかかります。各工種における細かい進捗を確認するのには向いていません。

作成に必要な知見とポイント

そもそも全体の工事手順が理解出来ていないと、いくら文字で知識を詰めても作成できません。ここでは作る際のおおまかなな手順や注意すべき点を記載し、今後作ることになる人、最近作る役割になった人向けに予習復習的な観点で解説したいと思います。

工事条件の確認

まず現場の条件を整理しましょう。不明な場合は想定や仮設定をしてください。条件が異なればかかる日数も(費用も)全く変わってきます。

場所

都道府県、市区町村は確認してください。よくよく聞いてみたら遠方だったなんてことも稀ではないです。

作業時間

平日日中できるとは限りません。夜間作業であれば効率は落ちますし、土日しかできないオフィス工事もあります。土日だけしかできず、毎回、工事仮設の設置&撤去もしなければならない現場もあります。

火気等の危険作業

そもそも禁止しているところや、条件が厳しいところもあります。入館に時間や手間がかかり、2時間の残火確認が必要な場合もあります。

その他作業者有無

別途工事業者がいるかいないか、施設の全館停電やエレベーターメンテナンスがないか、等、とにかく作業に影響があるイベントの有無を確認します。

工事内容と工数の整理

工種の洗い出し

まずおおまかな工種と手順を洗い出します。ここで手配発注先も意識しながら洗い出して工程整理しておくと、あとで手配や現場管理をする時に管理しやすいです。

発注先にヒアリング

次に各社にヒアリングしましょう。規模にもよりますが、図面に作業概要をメモ書きするなどして、その会社に何の作業を依頼したいか、わかりやすく記載して、できれば、おおまかな工事工程全体の流れ等を記載して、必要な工数を教えてもらいます。

工事工程表の作成

フォーマットの作成(エクセルの場合)

多くの場合プリントして打合わせで使用するなり、現場に貼る事になると思います。アウトプットをイメージしてA3ヨコ又はA4ヨコでバランスよくなるように縦軸と横軸を整えます。縦軸は工種や工事会社の数と予備、横軸は期間を考えて縦行と横列の幅を調整します。そして縦軸には工種と工事会社、横軸に月日を記入します。

※工事工程作成専用のソフトがあれば自動で調整してくれます。

工程の記入

上記で整理した情報を落とし込みましょう。基本は整理した内容を条件に基づいて、記入すれば良いですが、以下に注意下さい。

・現場調査、仮設養生、墨出しの時間確保

・搬出入の時間を確保、路面店でかつ車両を目の前に停車できれば短時間ですが、大型施設の場合は出入りに時間がかかったり、ELVの取り合いになったり、と搬入だけの日をつくるくらいが良いです。

・寝る時間。昨今の内装屋も寝ていないでしょうか。。周りの大手は「昔よりはよくなった。」と聞きますが、、、

・上下作業にならないように注意しましょう。天井で作業していると、足場付近で大工や床屋が作業できません。

・予備日確保してください。規模にもよりますが、全体の1~2割の日数は欲しいです。屋外作業があればもっと必要です。

・行政検査、施主検査のタイミングと是正期間を確保してください。

本来、行政検査→是正→施主検査→引渡、としたいですが、時間がないのが常です。

行政検査→施主検査・引渡→是正、なんてこともありますが事前の施主との調整が重要です。

まとめと雑記

工程表を作成する上での諸条件をなるべく網羅的に記載しました。ご自身でもチェックリスト等を作っておくと、いちいち「何の情報が必要だっけ?」と作るたびに悩む必要がなくなります。

ちょっとだけ昔話をしますが、私が入社直後はまだFAXがバリバリ現役でした。お客さんとはメールでやり取りする事もありますが、発注先はFAXが当たり前でした。なので図示もカラーを使えず、工程表や指示図等、全て白黒で表現する必要がありました。色分けできないのは今思えば不便ですが、意味なくカラフルにして、帰って伝わりにくい資料もよく見かけます。見やすい資料を見つけたらとっておいて、参考にする事をお勧めします。わかりやすい資料は白黒にしてもわかりやすいらしいです。

アイキャッチ_工事工程
最新情報をチェックしよう!