内装工事関連のみなさまは「たけかん(管)」「さらかん(監)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか? 私は20代の頃、「よくわかんないけど自分はたけかん(管)の管理」という理解しかしていませんでした。 さらかん(監)の監理との違いを理解することで全体像を把握することに繋がります。関係者との協議を円滑に進めることや、範疇外の業務を押し付けられるような事から回避することができるようになりますので、しっかり理解する事を推奨致します。
工事管理(たけかん)と工事監理(さらかん)の違い
下図はオフィスや店舗の内装工事によくある商流も表した体制図です。赤枠が工事管理、ピンク枠が工事監理です。

工事管理(たけかん)の概要
多くの場合、現場に常駐し、現場の進行を行う事が主な業務になります。「工程管理」「品質管理」「安全管理」「予算管理」を行い、現場のトラブル等を防ぎます。工程や品質に問題があれば、“発注先”に指示を出す等、主に発注先に向き合う業務になります。
工事監理(さらかん)の概要
多くの場合、現場に常駐はせずに定期的に現場に行き、現場を設計図書と照らし合わせて、設計図面や仕様書の通りに実施されているかを確認します。設計図書を相違があれば工事管理者に是正指示を出します。また、そのような状況を発注者に報告をする等、主に“発注者”に向き合う業務になります。また現場に対しては“発注者の立場”として監督します。
工事管理(たけかん)の業務詳細
工事管理についてもう少し掘り下げます。工事管理は多くの場合、施工会社の“施工管理”という職種の方が担います。工事の規模等により資格要件があります。以下に工事管理者の業務を記載します。(会社や規模により、他部署と連携する場合もあります。)
施工前
・設計図書を基に工事見積の作成する。
・現場を確認、採寸等を行い、施工図や施工指示図を作成する。
・工事計画(工程や養生計画、安全対策、施工要領など)を作成する。
・発注先と調整し、工事工程を作成する。
・テナントの場合、施設管理者と工事条件等の確認、調整を行う。
・必要に応じて諸官庁(多くの場合所轄消防)と協議や申請を行う。
・工事工程に則り、下請けの施工会社、職人、材料、仮設材等の手配を行う。
施工中
・施設側への作業届や必要な掲示物を行う。
・朝礼や昼礼等を行い、工事工程を管理する。
・現場を巡回し、安全や品質等の確認をする。問題があれば指示をする。
・現場の進行に応じて、未手配のものを手配する。
・現場の整理整頓を行う。
・施主や工事監理者が現場に来た際の対応を行う。
・必要に応じて施工写真を撮影する。
施工後
・施主検査を主導し、指摘事項をリスト化、是正工事や報告を行う。
・諸官庁検査(主に消防検査)を主導し、指摘事項をリスト化、是正工事や報告を行う。
・竣工図書の作成補助や施工写真の提出等を行う。
工事監理(さらかん)が行う業務詳細
工事監理についてもう少し掘り下げます。工事監理は多くの場合、基本設計者が担います。工事の規模等により資格要件があります。以下に工事管理者の業務を記載します。
施工前
・施工図と工事計画(工程や養生計画、安全対策、施工要領など)を確認する。
施工中
・工事が設計図書のとおりに実施されているかを確認する。
・工事が設計図書のとおりに実施されていなければ、工事施工者に指摘、改善を指示する。
・工事施工者が従わないときは、その旨を建築主に報告する。
・定期的に発注者に工事の進捗を報告する。
施工後
・施主検査に立ち会い、発注者の立場で品質の確認等を行う。
・工事監理報告書を発注者に提出、報告する。
・諸官庁検査(主に消防検査)に立ち会い、必要に応じて説明する。
・諸官庁への必要な行政手続きについてサポートする。
工事管理と工事監理を理解することのメリット
何の仕事にも共通で言えることはその業務にまつわる「(利害)関係者」の商流や体制の全体像を理解することが重要です。 その役割の人が何の責任において何を求めているかを理解することで、立ち回りを工夫する事ができます。 ご自身が「施工管理」の立場であれば「工事監理」に来た人に「施工者目線」だけで話すのではなく、「施主、発注者の目線を配慮した施工者」の意見を話すことによって、「工事監理」者への印象も良くなり、工事現場の推進が円滑になります。またそれは施工管理だけでなく、社会人としてどの業界の多くの職種で有用な能力ですので常に意識を高めましょう。